好きな人が好きだという音楽を、聴いてみたかった。
それを聴いて、その人に少しでいいから近づきたい、その人の気持ちに近づきたい。

前にも書いたけど、私は好きな文章を書く人のことが好きで、勝手に尊敬してしまうところがあって。
文章だけではわからないところがあるかもしれない、それがその人の全てじゃない、そんなことはわかってる。
でも、その人が書く文章が好きなんだもん、その人から出てくる言葉なんだもん、全てじゃなくてもその人の一部なのは本当でしょ。
なぜかわからないけど惹かれてしまうんだから、これはもうどうしようもないのだ。←恋か
こう書くとホント気持ち悪いんだけど、なんていうか自分の中身を彼女に寄せていきたいっていうか、どうにか背伸びして彼女の見てる世界を見てみたいっていうか、だから彼女がそんなにも好きというものを聴いてみたかった・・・ってああーどう書いても気持ち悪い。


という気持ち悪い私のことは置いといて、前に彼女に頼んでおすすめの歌を聴かせてもらったことがあって。
あ、そうそう、その前に私は一回聴いてみようと思ってそのグループのベストをレンタルして聴いていたんだった。
でもその時は、その時の私には、あんまりそんなに耳に入ってこなくて、まだよくわからなくて。
だけど彼女のおすすめの歌を、そう思って聴くのはまた違って。
私の耳はずいぶん気持ちに左右されるのだった。
感情やら直感だけで生きてる人ならではというか、要するにホントいいかげんなんです。

おすすめの中に好きな歌があった。
耳に残る歌。
でもまだ歌を聴いただけで、そんなに歌ってる人たちのことをよく知らないままだったので、あ!それもあるのか、私はわりとどんな人が歌うのか、どんな人たちが演奏するのかっていうのにも左右されるっていうか、それを知った方が耳に入りやすいのかもしれない。


今までもそういうことあったなあ。
バースデイもそういえば最初はそうだった。
レンタルしようとしたら初期のしかなくて、とりあえずそれ借りて聴いてみたけどその時はあんまり入ってこなかった。
なにしろまだまだ脳みそも耳も和義一色の頃だったというのもある。
あのモヒカンの人がクハラさんでキュウちゃんなのね、とかいうくらいの何も知らなさだったし。
でもWL始まる前だったのかなー、その時でいちばん新しいのを買って聴いてから、わあ、好き!って思って、それでWL始まって予習しようと思ってセトリの歌を聴きまくってたら、レポとか読み漁っていたらいつの間にかずいぶん好きになっていて、生で聴いて大好きになって。
それからは耳が変わったっていうか、好きになってから聴くと、最初の頃にはぴんときてなかったものもすごく耳に入ってくるようになるっていう、この現象になんか名前はないのかな。

あ、また脱線しそうになってる、戻して。
好きな歌はあるんだけど、でもね、あんまり好きを深めてもよくないから、だってライブ増やせないんだしね、のんびりとゆっくりと好きになっていくんだろう、無理には近づくまい。
なので、1月に新しく出たアルバムを買ったり、雑誌を買ったり、テレビやラジオを録ったり、っていうのはしてたんだけどまだこう、のめりこむほどには入りきってないような、どこか浅くてふんわりしたかんじだった。
いちばん最初には歌詞カードも見ながら聴いたのに、雑誌も読んだのに、あんまり深く考えてないから頭にそんなに残ってないというか、やっぱりどこかまだ入り込んでない。
その頃ちょうど他にもいっぱい聴きたいものがあったのもあって、許容量がね、ご存じのとおりだし。

好きな人に近づきたいってそもそも自分で思ったくせに、その音楽にあんまり近づかないように、あんまり深みにはまらないように、っていう自分でもなんだかよくわからない防衛本能が働いてたっていうか。



だったんだけど、今度ライブに行くことになった。
彼女が行くと言ったから。
もしも誘ったら行く?ってさらっと聞かれたから。
もちろん、いやなわけがない。
ライブで聴いたらまたずいぶん違うんだろうなあ!という予感はしている。
ただ、自分だけだったらまだきっと行ってない。
ちょっとなんならライブはどうでもいいくらいの、彼女に会いたいから行く!って決めたくらいの、正直に言うと返事した時にはまだそういうかんじだった。
ダンナさんにはなんとかうまく言うわ!
彼女とどこへ行こう。なに食べよう。ウキウキ。←恋か



だけど、どうせ行くならどのライブだって楽しみたい私である。
気持ちがあるとないとではライブの楽しさが全然違うことを知っている。
ましてやそれは彼女の好きな人たちのライブなのだ、こんな浅いかんじのままではよろしくない。
ちょこちょことは聴いてはいたけど、そろそろ本気出して向き合わなくては!←いちいち大げさ
4月から始まったツアー、新しいアルバムだけじゃなくて古いのも結構やるみたい。
彼女のおすすめにも、持ってるベストにも入ってないのが結構あるらしい。
セトリを調べて持ってないものをネットで探して聴いてみたり、持ってるものをいろいろシャッフルしてみたり。

しかしそれはちょうど4月で。
雨が多くて、なんだか気が沈みがちだった4月で。

そのせいかどうか、私は彼らの歌を聴くたびに、聴けば聴くほど、なぜか沈んでいったのだった。
歌声が、この音楽は、湿ってるっていうかなんていうか、なんかこう、私の胸の痛みというか、どこかのかなしいスイッチを押した。
雨が、この音が、あああ、いけんこれは、どんどん沈んでいくんですけど、なんで。
そんなに雨が嫌いなはずじゃなかったのに、この季節の雨がダメだったのかな、なんでかわからない。
たまたま聴いた時の感情と、窓から見えるどんよりした空から降る雨の景色と、湿度と肌寒さと、全部がなんかリンクというか、すっかりはまってしまったんだ、歌詞あんまりわかってなかったりするから内容がどんななのかもわかってないのに、かなしいメロディーばかりじゃないはずなのに。
(今考えたら、元々明るい歌より切ない歌を好む傾向があって、テレビやラジオでよく流れた比較的カラッとしたのは他のに比べて聴きすぎてるからって飛ばしていたのも原因な気がしないでもない)
とにかくちょっと刷り込みみたいなところがあったんだろう、条件反射みたいに聴くたびに沈んでしまって、本当に困った。


あんまり困るので、聴くのをやめた。
そうしてしばらくしたら、天気がいい日が多くなって、部屋の整理とかして、なんだかすっきりした気分になって。
それから私はまた彼らの音楽を聴いた。
ちょっと怖かったけど、またどよーんとしたらどうしようとか思って怖かったけど。



今度は前とは全然違った。
今の感情は前と違うからなのか、見えてる景色や温度や空気が違うからなのか。
それでもやっぱりまだパブロフの犬的に、聴いたら喉の奥というかみぞおちの奥というかがちょっときゅう、ってするやつもあるけど、それは悪いきゅう、じゃない気がする。
なぜかやっぱりどこか自分の弱いところにくる気がするけど、それがなんでかわからないけど。

とりあえずとにかく沈む時期は過ぎたらしい。
体から湿った水分が抜けていくような、濡れてた木材が日光に当たって乾いていくみたいな・・ってなにそれ。
よくわかんないけど、何か吹っ切れたというか抜けたというか(私が、一方的に)。
で、今度はすんなり入ってくる、浅く聴いてた時にはすーっと流れて通り過ぎていた音が、急に頭の中に流れ込んでくる、不思議な感覚。
うーん、なに言ってるのか自分でもよくわからない。
なんだけど、すごく不思議なかんじなんだよ!

とにかく、やっと私に入ってきたかんじ、いろいろ知りたくなってきたかんじ。
自分が今まで感じたのと答え合わせをするみたいに、いろいろ見まくる。読みまくる。
今までにもう見たことあるものが、聴いたことあるものが、違う風に入ってくる。
今まで全然わかってなかった世界が、といってもまだまだなんだけど、この前までとは全然違って見えてくる。
かなり楽しい。
同じ好きっていう気持ちでも好きにはいろいろあって、そして好きになるまでの過程っていろいろだ、本当に。



今度、私はGRAPEVINEのライブに行きます。
ライブに行ったら今より好きになるのは絶対間違いなくて、今からドキドキする。
ていうか、今まで調べてたセトリやら曲やらがなんだかずいぶん変わっているらしい!
なによー、初心者をもてあそぶわー!
こういうのも新鮮だ。
でもきっと、今なら初めて聴く歌だってすごく楽しめると思う、だってもうずいぶん好きだもん。 
ああー、すっごく楽しみ!


Burning tree (初回限定盤)
GRAPEVINE
ビクターエンタテインメント
2015-01-28

とりあえずこの緑のをいっぱい聴くよ、あと一週間!
娘にちょっと聴かせたら、え、これ英語の歌?って言ってた。
あと、こんな綺麗な声でクソでしょうって、嘘でしょう!とも(笑)。 
死番虫とWeight聴くのが特に楽しみ。